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舞台からの景色

9月24日
読了時間: 5分

Chère Musique


舞台があると、現地のホールでのリハーサルを、当日ではなく何週間か前にやっておくというのが理想です。


現実にはなかなかそうもいきません。

ホールを借りるとなると、スケジュールや予算の調整が大変です。

ですがそこをがんばって、私は今回のラフェットのような大きな舞台では必ず実行できるようにしています。

今回は10月4日の本番に対して9月19日に行いました。



プロの場合は本番の直前に、長い時間その場で演奏します。

練習ではなく本番の演奏です。

このホールでこの楽器で、この空間に自分の音楽がどのように実現されるのか。

いろいろなことを確かめ、楽器と会場とに自分を合わせてゆきます。


まずは楽器の感触。

ピアノでしたらまずそれが一番です。

ピアノは持ち歩けるものではなく、その会場に置いてあるピアノを弾くしかない。

自分に合った素晴らしいピアノ、自分の音楽を再現してくれる上質なピアノであることを願うばかり、という感じでしょう。


どんなピアノがあるのかを確かめてホールを借りますが、どんなに素晴らしいピアノとうたわれていても、自分との相性ということもありますので、難しいところです。

持ち込める楽器の場合は、その楽器の音がその会場でどんなふうに響くか。


ピアノもそうです。そのピアノがどうこうというよりも、そのピアノで弾いたら自分の音がどんなふうに響くのか、どんなふうに客席に届いていくのかということを、一生懸命確かめていくのです。


これがもし生徒さんだったら、その楽器の音を身に付けよう体に染み込ませようとするだけで何ヶ月もかかるでしょう。

それをプロはその数時間でやります。


歌でしたら、自分の声がその会場でどのように響くのかを確かめ、それを耳に刷り込み、そしてどういうふうに演奏するとよいかを体で覚えようとしている時間です。

私もこのところ何度も同じサロンでコンサートしていますが、毎回当日の本番直前にしっかりとリハーサルの時間を取ります。



そして演奏者に大切なのは、舞台から見える景色です。


ピアノは演奏中に見えるのは横向きの空間で、客席の景色を見続けるということはありませんが、響くのは客席の空間です。

どのような空間なのかということを、視覚的にも知っておかなければならない。


歌は、もっとその点が切実です。

自分がどのような空間に立っているのか、歌っている自分にどんなものが見えているのかということを、体に刷り込みます。

これはとても大切なこと。


歌い手というのは、歌っているとその歌詞の中の世界に行ってしまいます。

ですから、例えば森の中を歩いているという内容の歌詞を歌っている時には、本当に森が見え、風の音が聞こえ、木々のざわめきが聞こえ、植物の匂いがして来ます。

例えば、母親が我が子に歌う子守歌などを歌うときには、その子どもを寝かしつけているシーツの手触りの感触、その色と匂いと、部屋がどのくらいの広さなのか、そういうものまで全部見えてきます。

これが歌い手という人間です。


それらが見えている時には、どういう空間でどちらの方に向かってどんな表現をすればその歌詞の自分になれるのかというのは、会場によって違います。

とても違います。

ですから、舞台に立って客席を見たとき、自分の視界に映るもの、空間そのものを感覚的に覚える必要があります。




ラフェットのホールリハーサルは、同じ立場の生徒さん同士で、出演者が客席で聴いてくれています。

もちろんその人数では客席はほとんどが空席のようなもの。

その客席がほとんど埋まるほどの人数がいることを想像して、そしてその光景を記憶に定着させるということが大切だと思います。


自主練やレッスンでその記憶の景色を思い出す。

しっかりリアルに想像して、その中に身を置いて演奏する。

その空間の中にいる自分が、今歌っているのだというふうに想像して、自分を本番状態に持っていくのです。

私も、常にその覚えたその空間に身を置いて、自分の家ではないところが見えているという状態で練習しています。




ホールリハーサルで次に大切なのは、客席には自分の音はどんなふうに聴こえるのかを知る、ということです。

舞台ごとに、広さ、天井の高さ、壁と天井と床の材質が異なっています。

そういうものによって、自分の弾くピアノの音や自分の出す歌声が作られてゆきます。


そして姿形に現れる表現のオーラも確かめたいところです。

客席から自分がどういうふうに、どんな存在に見えるのか。


今回のラフェットのホールリハーサルの場合は、本番を録画してくれる生徒さんが、その日も撮ってくださるそうです。

その動画はすぐに皆さんにお送りするので、しっかり何度も何度も聴いて、観て、自分を知るということが本番でのよい演奏にダイレクトにつながってゆきます。




ラフェット2026〜ヴォアクレール40周年記念演奏会

2026年10月4日(日)くにたち市民芸術小ホール(FSXホール)

15:30開演15:00開場

このホームページのイベントページに詳細があります


このブログをお読みくださっている読者の方が、もし突然来てくださってお声かけくださったりしたら、とても嬉しいです。


 
 
 

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