表現は初めから
- Naito Ikuko
- 7 日前
- 読了時間: 2分
レッスンで新しい作品に取り組み始めた練習の初期に、多くの生徒さんが陥りやすい「無表情な演奏」にたいして、長年言い続けてきたこと。
音色や起伏などのいろいろな音楽の表情は、一番初めの時期に感じておくことが大切です。
そうしておけば、練習期間を経て最後の仕上げが格段に良いものになります。
まずは指の動きが、発声が、と思う気持ちはよくわかりますが、それらはすべて「自然な表情」の中にあるべきなのです。
譜読みで拍子を掴んだら、その先はずっと拍子による音楽の波を自分に染み込ませましょう、とお伝えしています。
四拍子、三拍子、二拍子、六拍子、様々な拍子があり、そのどれもがそれぞれの特徴となる独特のアクセントを持ちます。
そしてもうひとつとても大切なのは、メロディの中に歌としての起伏があるということです。
自然な当たり前な感覚として、よく響かせる音、少し重みを持たせる音と、さらっと通り過ぎる方がよい音とがあります。
この拍子とメロディの中に元々あるアクセントについて、YouTube『音楽のひとしずく』やnoteでもう少し詳しくお話ししています。
ぜひお聞き、お読みください。
聴き手として心を傾けると、その音色の違い、表現の違いが、無い演奏はとても変に聴こえるはず、有る演奏は当たり前のものに聴こえるはずです。
演奏者の立場に立つと、指の動きや発声に振り回されてしまい、音楽としてそんなに自然なことを何故かやらない、という時期を過ごしてしまう方が多いのです。
仕上がって最後に舞台がある場合もそうでない場合も、自分にとって一番良い演奏というのは、無意識の演奏です。
それまで作り上げてきた表現、自分自身の感覚や気持ちや考え。
その時の自分がありのままに音を出していく中で、それらのいろいろなものが当たり前のように表されている。
そうなるためにも、土台となる表情の変化や音色へのこだわりがあって当たり前という演奏を、一番初めの時期からしておくのが良いと思います。

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