音楽形式を読み取るとき
演奏には「譜読み」という段階があります。
どんな曲なのかを、練習を始める前に理解しておくことです。
音楽家によってやり方はさまざまですが、生徒さんのレッスンではこの譜読みの「オススメのやり方」をご紹介しています。
なぜわざわざご紹介するかというと、何も言わないとほとんどの生徒さんが、一番遠回りだと私には思える手順で進めていくからなのです。
それは、楽譜を前にして何も考えずにいきなり音を出すというやり方。
一番身近に感じられる(だけ)の、実は一番遠回りの方法です。
気持ちはとっても分かります。
とにかく歌いたい弾きたい、音を出すのが楽しいから音楽教室に来ているのですからね。
でももしその生徒さんが、数ヶ月かけて最後の仕上げまで辿り着いて、演奏を自分なりに完成させたい、と思っていらっしゃるのなら、本当に一番早い道を通って行ったら良いと思うのです。
というわけで、「譜読みの手順」ということをいつもお伝えしています。
はじめに題名と作者、次に拍子とテンポ、“調”と構成。
そして次に「音楽形式を読み取る」という段階があります。
簡単に言うと、どんな形をしている音楽なのかを知るということです。
音楽の形にはいくつかの種類があって、それを知っていると必ずとっても良い演奏になります。
プロの演奏家でそれを分からず演奏している人は絶対にいません。
形を解ったその上に表現を作るから、人の心を動かす演奏になるのです
音楽形式を読み取ろうとする時には、一番大きな単位からスタートします。
大袈裟に言えば、組曲の中の一曲ならその組曲全体から、オペラの中の一曲ならそのオペラのストーリーから。
「こんな世界なのか!」と感じて、次に、目指す一曲がその中でどんな存在なのかを知る。
次に、その一曲の中には、大きく区切ると幾つの場面に分かれるのか、どんな場面がどんな順番で並んでいるのか、つまり形式の種類を考えます。
初めはAで次の場面がBでその次にまたAに戻って。。。
最後にコーダがあって。。。
などなど。
そして次に、ひとつの場面の中で、どんな音楽が展開していくのか。
Aの中は前半と後半に分かれていて。。。
最初のAとBの後のAは後半が少し違って。。。
という感じ。
。。。これ以上に細かく言うと専門的な話になり過ぎなので、この辺にしておきましょう。
とにかくこのように「大きく広い視点から、だんだん自分へ近づいて来て、細かいところへ」進んで行くのです。
そして音楽形式が理解できると、次にはさらに細かく、その中のひとつひとつのパートやパッセージがどんな存在なのか、音で表されると良いのか、技術的に何を練習すると演奏できるのか、何を考える必要があるのか、、、と、進んでゆきます。
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郁センセの毎週の活動は。。。
火曜日はポッドキャスト(インターネットのラジオ)で音楽の先生の立場でお話。
水曜日はこのホームページの中のブログ(数日遅れてしまうこともよくあり、スミマセン)と、それをFacebookとInstagramとXとLINE公式アカウントで発信。
木曜日はずっと昔から書き続けているAmebaブログ。
金曜日はポッドキャストで一音楽家としてのお話。
土曜日はnote(ノート)というサイトで音楽に関するショートエッセイ。
日曜日はYouTubeのヴォアクレールチャンネルで『音楽のひとしずく』という番組。
今週はそれらを全部ひとつのテーマにしてみました。
「大きく広い視点から近づいて来て細かいところへ」というテーマです。
このホームページブログでは音楽形式を取り上げました。
同じテーマでも、話すまたは書く場所によって内容が違ってきます。
我ながらおもしろいやり方。
これまでもその中のいくつかを同じテーマ、というか同じような内容にしたことは何度もありましたが、計画的にするのは初めてです。
楽しいので、これからは頻繁にこのやり方で行こうと思います。
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