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なぜ皆さんにアンサンブルをおすすめするのか

11月の終わり頃、久しぶりに映画を見てきました。

映画『ビバ・マエストロ 〜指揮者ドゥダメルの挑戦』という映画。

ビバというのは 讃えるというような意味で、マエストロというのは指揮者のことです。

その名の通り、とある指揮者を題材にした、ドキュメンタリー映画です。


この映画のキャッチコピー。

「来たる2026年、ラテン系指揮者で初のニューヨークフィルハーモニックの音楽監督就任が決定しているグスターボ・ドゥダメル。

21世紀のクラシック界に彗星のごとく登場し、全世界を魅了するベネズエラの若き指揮者の栄光と苦難、そして挑戦に密着したドキュメンタリー」

とあります。


そのとおりなのですが、、、これだけではこの映画の重要性や素晴らしさをまだまだ表しきれてないなと、観た後に思いました。

ドゥダメルという音楽家が、どういう人なのか。

郁センセはなぜ注目するのか。


noteにたくさん書きました。

そしてその話をYouTube『音楽のひとしずく』でもお話ししています。



この映画にはたくさんのことを考えさせられ、勇気をいただきました。

ベネズエラという国がどんなことになってしまっている国なのか。

そのために音楽家と音楽をしている子ども達若者たちがどんな人生を強いられているか。

そしてそんな中アブレウという音楽家によって作られたエル・システマという組織が、どんなに素晴らしいものか。


アブレウの考えは、

音楽によって社会は発展する。

音楽をすることによって、人間の本来持つ敏感で愛のある感覚を使って、人と調和することを教えられる。

感情を音で自分の中から外へ表現すれば、活き活きした人間になる。

若者に、子ども達に「目的を持って意味のある人生を歩もう」と思わせる。


危険な混乱が続く自国を、音楽と愛によって何とかしようとする、そんなアブレウは、エル・システマの中でたくさんの素晴らしい若者の音楽家を育ててきました。

その中で、とても小さな頃から、この子は唯一無二だ、天才中の天才だ、と言われて、大切に育ててきたのがグスターボ・ドゥダメルです。

今43歳にしてもうすでに世界中から認められ求められて、たくさんのことを成し遂げてきています。

先日のノートルダム大聖堂パリの再開セレモニーでの指揮も、ドゥダメルでした。


ベネズエラ政府以外のすべて、世界中の音楽人たちがドゥダメルを応援しています。

私の国に来てこのオーケストラの指揮をしてください、この音楽イベントに出てくださいと、世界中から招かれて、大人気です。

でも、どんなにか自国の若者たちと音楽をやりたいでしょうか。


撮影開始後にたくさんのとんでもないことが次々と起こり、映画の中ではの明るくて希望に満ちた生き生きした素晴らしい場面と、激しい、強い、重たい場面とが、混ざり合っています。

ドゥダメルがカメラの方を向いてインタビューに応えている映像もたくさん出てきますが、その中で私が心の中にしっかりメモを取った大切なことを、たくさん言ってくれます。


「音楽には、連帯、調和、思いやりを育てる力がある」

アブレウの信念を確実に受け継いでいます。

アンサンブルこそ音楽がある本当の意味だと、若い頃から常々思い発言してきた私が、ドゥダメルに深く深く共感するのはここです。


人は一人きりで心の中を見つめていると、どこまでも孤独になることが出来てしまい、この世界に生きる意味を見失ってしまいます。

どんな形であれ音楽をするということは、心を表にあらわす、心の外と交わることなのです。

これがすべての人間にとってどれだけ生きやすくすることか。

自分の心の外の人や物事と、自分の心が交わることで、たくさんのものをもらい与え合う。

音楽を奏でることほどこれを実現できることは他にはないと思っています。


「すべての花が刈られようとも、春は必ずやってくる」という言葉もありました。



そして、この映画にはたくさんの演奏シーンが出てきます。

実際にドゥダメルが指揮をしている、音楽を学んでいる子ども達のオーケストラ、ベネズエラの若者で作ったオーケストラ。そして ロサンゼルス・フィル。世界中の有名なオーケストラ、そしてアブレウ追悼コンサートなど、

どれも本当に素晴らしい演奏です。


読み物の方が良い方はnoteを

耳で聞く方が良い方はYouTubeを

よろしければ読んで(聞いて)みてください。


東京では、12月の27、28、29に池袋の駅の近くにある新文芸座という映画館で上映されるそうです。



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